アサーション(23)心の柔軟性、強さ

 あと数日を残りのお金でどうやって過ごすか悩んでいる人もいれば、昼ご飯をラーメンにするかカレーにするか悩んでいる人もいるし、プレゼントの装飾品をゴールドにするかプラチナかにするか真剣に悩んでいる人もいて、生活のレベルはまるで違っていても、誰が幸せで誰が不幸かなんて、客観的に決めることはできません。

 富も名声も何もかも手に入れているように見える人が、自ら命を絶つようなできごとがあると、「これ以上いったい何を望むことがあった?」なんて思ってしまうのですが、この先、生きていこうと思う気持ちと富や名声は、関係ないのかもしれません。

 心の持ち方に目をむければ、極限の状況の中で生きる意欲を完全になくす人もいれば、生きる希望を持ち続け神への感謝の言葉を捧げ続ける人もいるわけです。(参考:「夜と霧」ヴィクトール・E・フランクル)

 様々な境遇の人が、それぞれの学びを得ながら育ち、異なった価値観を持って暮らしています。そして様々な人々が、それぞれの個々の強さや弱さ、柔軟性や頑固さを持って暮らしています。

 社会の中の「立場」や「役割」に縛られて、強い人を演じ続けなければならない人。弱さを見抜かれないように、威張り続ける人。人の痛みを理解できないサイコパスといわれるような特性を持った人。そんな人達もひとつ空の下で暮らしています。

 あまりにも多種多様な人達のことをどこまで理解し、受け入れることができるのか、なんて考えると目眩がしてきそうです。が、大切なことは、そんな世界で生きているんだということに気づこうとしていることや、その中で自分の気持ちができるだけ自由で楽でいるためにはどんな心の持ち様が必要なのかということを、考えようとすることなのではないかと思います。

 明確な答えなんてないと思います。それでも、自分が幸せな気持ちの近くにいるためには、人との関係の中での自分自身が、何を感じ、どう振る舞おうとしているか、そんなことを見つめながら、心の柔軟性を手に入れていくこと。そして聴いたり伝えたりのレベルアップをしていくこと。それが生きるための強さにつながっていくように思うのです。

 そんなことを考えながら、迷いつつ悩みつつ歩き続けていきたいと思うのです。

NPO法人ぐんまアサーションラボ(ぐんまあさらぼ)高橋祐紀

 

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