アサーション(24)自己効力感、揺れ動く自分

 武道の達人の話。(出典不明)。合気道だったか、空手だったか。その達人は構えの姿勢をとるとピタッと止まって動かない。どうすれば、そんなブレることのない自分の軸を手に入れることができるのか?そんな質問に、ブレ続けているが、そのブレを途切れることなく修正し続けている。と、そんな応え。

 自己肯定感が低いという思いがある人は「肯定できるような自分を手に入れるためには、努力が必要だ」ということになるかもしれませんが、それでは肯定できる自分になかなかたどり着けません。どんな自分が肯定できる自分なのか、その基準は明確ではないことが多かったり、自分からその基準をどんどん引き上げてしまう可能性があったりするからです。

 そのままの自分でいいんだよ。と言われると、それはとても安心できる言葉で、今のままの自分を肯定する自己肯定感につながっていきますが、何かを間違うと、困難を克服し成長していくことを止めてしまうことにつながることもあるかもしれません。今の自分のマイナス面を意識した劣等感が成長の力でもあるからです。(参考:アドラー心理学)

 成長していくための努力を続けていくために必要なことに自己効力感という言葉があります。(参考:バンデューラ)これは、ぼんやりとだとしても、「自分は、きっと目標を達成することができる」という思いです。過去の成功体験や、ドラマや映画や他の人の成功体験を目にすることや、励ましの言葉などで高まると言われています。そして努力をする過程で味わう数々の失敗に挫けず、すぐに立ち直るにはレジリエンスが必要になります・・・・。

 と、色々書いてきましたが、私達は日々、常に揺れ動いていて、ちょっとしたきっかで、自己肯定感が上がり、あるいはどこまでも下がり、

目の前の課題を楽しむように試行錯誤を繰り返している自己効力感がめちゃくちゃ高いのに自分では気づかないことがあったり、

「無理~」と絶望的になったり、気がつくと立ち直っていたり、二度と立ち直れないという思いが強くなって、落ち込んでみたりしているわけです。

 大切なことって、自分は揺れ動いている、ということを知ることと、そういうものなのだ、と受けとめていくことだと思うのです。テーブルの上に卵を立てるのは難しいですが、立つ瞬間を目指して、卵に両手を添えて、倒れそうになって揺れる卵を、指を触れたり離したりしながら支え続けることはできます。

 お互いに揺れ動く人と人。揺れることなく立っている人など稀なわけで、揺れるたびに関わったり離れたりしながら支え合っていることを、多くの人が謙虚に受けとめ、寛容さを大きくしていくこと。その関わりのために「言葉で伝えること」が重要な役割を担っているということを僕もさらに学んでいきたいと思っています。

 激しく揺れ動く世界の中で、みなさんと一緒に、揺れ動きながら学んでいきたいと思っています。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

NPO法人ぐんまアサーションラボ(ぐんまあさらぼ)高橋祐紀

 

 

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