アサーティブに!(42)寛容さとシステム思考

 アサーションが広く実践されて、アサーティブな人間関係が少しずつ進んでいき、社会全体がアサーティブになっていったとしたら、それなりに生きづらさは解消され、生きやすい世界になるだろうと考えています。

 それは、とても重要なことではあるけれど、ひとつの入口でしかなく、表面的な変化でしかないとも思います。(アサーションを推し進めていくことが、重要であるということに変わりはありませんが)

 銀行や郵便局で、実際にコミュニケーションをとるのは、窓口の人だけですが、お客さんに対して、窓口の人が適切な返答や、適切な問題の解決を伝えるためには、窓口の人の後ろにいる沢山の人達の調査や工夫や準備も必要となります。窓口の人の素敵な笑顔と、聞き取りやすいしゃべり方だけでは、より良いサービスは成立しないのです。

 走ってはいけない廊下を走っている人がいたとして、シンプルな正義感で考えれば、「いけないことをしているから注意する」が正しい答えでしょう。ただ、十人十色であることと同じように、十のできごとには十の理由や状況があるということを思い浮かべられる余裕も必要です。

「いけないことをしている、ということは、何か緊急なことが起きているのかもしれない」

「自分の意思ではなく、ひどく脅されて、走らされているのかもしれない」

これは「寛容さ」という話です。

 そして、システム思考という話。

 結果に対して、原因はすぐ近くにひとつ存在していて、その原因を変えれば、結果がすぐに変わるのか?ものごとを対症療法的に解決することが、本当の解決策になっているか、そして、その解決策によって、より大きな問題が生じていないか?といような話につながるのが、システム思考です。複雑なシステムの中で起きている問題があることを知る必要があるという話です。

(参考:最強組織の法則 ピーター・M.センゲ(著者),守部信之(訳者)、 学習する組織 ピーター・M.センゲ(著者),守部信之(訳者))

 詳しくは書きませんが、ストレスをストレス解消法で発散しているうちに、根本の原因が徐々に進行していき、より大きな影響が現れてきてしまうとか、部下のフォローをその場その場でやっていて、気がつくと依存体質の部下ができあがってしまうことなど、実際には、複雑につながりあっているシステムに目を向けて、何に対して対策をしていく必要があるのか考えるという話になります。ネットの中で起きている問題や、いじめの問題なども対症療法ではなく、システム思考的に捉えていく必要がありそうな問題が世の中には山積しているように思います。

 中途半端になってしまいましたが、アサーションがより効果を発揮していくためには、多くの人がより寛容になり、システム思考的なものごとの捉え方をすることも重要なのかなと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

NPO法人ぐんまアサーションラボ(ぐんまあさらぼ)

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