アサーション(10)人との比較

それ、無理でしょ!ってほんとなら思うような素晴らしい言葉が、人々の自己肯定感をどんどん奪っていくように思うことがあります。「人と比較してはいけない!あなたは、あなたのままでいい」素敵な言葉です。こういう言葉って、ある独特なシチュエーションの中で言われたり、読んだり、聞いたりすると、心を包みこんで大きな変化を作り出すこともあります。

「大きな夢を持って生きていきましょう」なんてのも、心にグサッとくることもあれば、ドリームハラスメントなんて呼ばれるような、「夢を持っていない自分はダメなやつ」と落ち込む人を作り出したりもします。

塩が少なくて「まずい」ものは塩をかけると「うまい」ものに変わる。10度だと水で40度だとお湯。速い人と遅い人。できる人とできない人。

素晴らしい言葉に包まれながら素敵に生きていけたらいいな、とほんとうは思うのですが、僕自身は実際には、おそらくあらゆることを比較しながら、いい気になったり落ち込んだりを繰り返しながら生きています。心の中では人を責めたり見下したりもしながら、または尊敬したり嫉妬したりしながら生きています。好きとか嫌いとか思いながら生きています。

色々なことをどうしても比較してしまい、比較すると劣等感がたくさん生まれます。時にはこの劣等感を優越感にかえてみたくて頑張ってみたり、時には、落ち込んでみたり。(落ち込んで無気力になる時、かわいそうな自分がいて、誰かに助けてほしくて、と思いつつも、俯瞰してみると、なんかそこに流れている静かな風みたいなものを好きな自分が実はそこにいる、ような気がするのですが、みなさんはどうだろう。この感覚を共有できる人はいるのだろうか・・・)

大切なことは、自分だけでなく沢山の人がこんな劣等感を持って生きていて(アドラー心理学を検索してみて)、それを隠すために人よりも上に立っていることを誇示してみせようとする人も沢山いることを知っておくことかなと思います。(僕自身もそういう時が結構あるかもしれません)

そんな不完全な人達が作っている社会。エヴァンゲリオンという話では人類補完計画で一旦滅ぼしてからやり直すみたいな話になりますが、それはちょっと無理でしょ!ということで、相手を尊重し、自分を尊重し、事実を確認し合い、相手の気持ちを受けとめ、自分の気持ちを伝え、Win-Winにならなければ代替案を考えていくアサーションによって、少しだけ生きやすい世界に変えていければと思うのです。

話がずれてしまった気もしますが、第10回はここまで。最後まで読んでいただきありがとうございました。

NPO法人ぐんまアサーションラボ(ぐんまアサラボ)高橋祐紀

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