アサーションに関して(5)答えは質問の質をこえられない

「答えは質問の質をこえられない」

この言葉、ニーバーの祈りと並んでとても重要な言葉です。

 より生きやすく、より良く、より豊かになることを目指すとしたら、自分に(または相手に)投げかける質問の質を高めていく必要がある、という話です。

 なぜ、自分はダメなんだろうと自分自身に何度も問えば、たくさんのダメな理由を見つけることになります(こういう質問が絶対的に悪いと言うことではありません)。今日はどんな嫌なことがあるだろう、と問えば、嫌と思えることに敏感に反応する一日になります。ひとは関心のあることは、よく見えるようになり、全く関心のないことは見えていても気づかなくなってしまうからです。

 では、質の高い質問とは?

 試行錯誤しながら、日常が楽になる質問を見つけ続けたいと僕も思うわけですが。例えば、うまくいかなかった後、「なぜ、うまくいかなかったのだろう?」と原因を探しますが、その後早めに「うまくいくためには何が必要だっただろう」「どうすればうまくいったんだろう」と質問を切り替えていくこと。

 嫌な人との関係では、「なぜあの人は、あんなに嫌なひとなんだろう」と問い続けることで出てくる答えはなんなのか?「あの人と、どんなふうに付き合っていくことが自分のためにはよいのだろうか?」「この状況の中で、反面教師という意味も含めて、あの人から学べることはなんだろうか?」

「何があればできるのか?」という問いかけ方はコーチングにおいても基本となる姿勢なのですが、アサーションをしていく上でも、人、ものごとへの対処の仕方として心の基盤部分に持っていたいものだと思っています。

 どうにもならないことを、そのまま受け入れる冷静さを持つこと。そして、どこへもたどり着けない質問を控えめにして、変えられることに関して、何があればできるかという前へ進む質問をしていくこと。

 そんなことを自分の基盤のひとつとしつつ、相手がどう思うか、なんてわかるはずのないことを想像しすぎず、早めに言葉に出しながら確認していくこと。

 少しずつ少しずつ、そんなことを積み上げていきながら、アサーティブな社会を築いて、多くの人が生きやすい世界が広がっていったらいいな、と思います。

 では、最後に。ご自身に問いかけてみてください。

「今日一日に、楽しい気分をもう一つ加えるために、どんなことができそうですか?」

 みなさんにとって、今日一日が素敵な日になりますように!

 NPO法人ぐんまアサーションラボ(ぐんまアサラボ)高橋祐紀

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