アサーション(26)粘り強さ

 楽観主義と言われる人の持つ特徴のひとつとして「粘り強さ」というものがあります。(参考:エレーヌ フォックス 著「脳科学は人格を変えられるか?」)

 粘り強さがある人とない人は、自分への「問いかけ」や「言葉がけ」が違っているようです。「答えは質問の質を超えられない」という考え方がありますが、質の高い問いかけ方が習慣化されていくことがとても重要です。

 粘り強い人達は他人の素敵な振る舞いを見ながら、「自分にできるか、できないか」よりも「できるようになりたいか、なりたくないか」を自分自身に問いかけて、できるようになりたいと思った時には、「どうすればできるようになるか」を問い、試行錯誤、工夫を、延々と繰り返していく。良い結果を得られるかどうかを悩むことよりも、工夫を重ねていくことを楽しんでいるようにさえ見えます。

「うまくいく」という強い意識を持っているというよりも、なんとなく「うまくいくものだ」と思っているようなのです。それは、うまくいかなかった過去の体験ではなく、うまくいった時に感じていたものを無意識的に思い出していたり、励ましてくれる人の言葉をなんの疑いもなく素直に受け入れていたり、誰かの成功体験を無防備なほど素直に自分のことにおきかえてみたりしているようです。(参考:バンデューラ、自己効力感)

 では、どうしたらそんなふうに思うことができるようになるのか?またはどうしてそんなふうに思うことができないのか?

 育ってきた環境の中で、考え方の傾向ができてしまっている場合もあるようです。それから、企業などで部下を持つような立場の人で、自分のやりたくないことをやらされているという思いが強い人や、自分の能力を越えるようなことを任されている感覚の強い人は、その役割が自分には合っていないことを肯定するために「自分にはできない、能力がない」ということに意識を強く偏らせてしまっていて、それも自己効力感的なものから遠ざかる一因になっていると感じています。(数百社の企業の、部下を持った人達と話す中で感じたこと)

 野球やテニスで、飛んでくるボールを良く見るように指導するためには、時に「ボールをよく見ろ!」だけではうまくいかず、「ボールがどっちに回転していたか教えてくれ!」という言葉が有効に働いたという話があります。質問の視点を変えていくことで、求めている結果(ここでは、ボールをよく見る)を得られるという例です。

楽観主義、自然体の「きっとできる」という感覚、自己肯定感、粘り強さ。一朝一夕でどうにかなるものではないでしょう。ただ、柔軟に視点を変え、柔軟な質問を自分に問いかけてみることや、自分の中の頑固さや、素直さに気づくことや、

そのために、自分ばかりに向けていた意識を他のひとや物事にむけてみたり、他の色々なことは忘れてただ一つのことや一人の人のことに集中してみたり、そんな自分に気づいてみたりしていくことも重要でしょう。

 この辺りのことにかんしては、さらに考察し仮説を立てて、検証していければと思います。

 有効な答えにたどり着けず、アサーションの話にもなかなかつながりませんでしたが、アサーションは相手のあるコミュニケーションの話なので、自分の思いだけではどうにもならないことも多く、人によっては、または場合によっては、失敗しつつ訓練や試行錯誤を重ねることも必要となります。それでも粘り強く、アサーション能力を上げたり、長期的なアサーティブな関係を築いたりしていくためには、基本として、「愛」とか「心」とか「思いやり」とかが不可欠なものだと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

NPO法人ぐんまアサーションラボ(ぐんまあさらぼ)高橋祐紀

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