アサーション(20)アサーティブな安全基地

「たか鬼」とか「色鬼」とか、子どもの頃やりましたか?おいかけっことか、鬼ごっことか呼ばれる遊びのひとつ。僕の頃は、色鬼ってのはやりませんでしたね。遊ぶ場所がお寺の境内で遊具もほとんどなく、あまり色がなかったからかもしれません。

 この遊び、高い所にいる間や、鬼が指定した色に触っている間は鬼には捕まりません。そこは、一瞬の安全基地。子どもたちは走り回って走り回って、ひとときの休息を。それでもすぐにまた走り出す。

 親の元へ返ってくる子どもも、仕事から帰ってくる親たちも、その家が少しでも心安まる場であったらいいな、と思います。家族のいる場所が、安心していられる場所であったらいいな、と思います。家族と一緒にいられる時が少しでもリラックスできる時間であったらいいな、と思います。

 アサーションというのは、自分の思い通りになるようにするコミュニケ-ション技術ではありません。相手を理解しようと努め、自分の思いも伝えていこうとする技術。自分が丁寧にアサーティブに何かを伝えたとしても、相手が受けとめてくれるとは限りません。ただ、初めから思い込みで相手の考えを勝手に決めつけたり、結果を決めつけたりせずに、「伝えてみようよ」という考え方です。そしてよりよく伝えるには、伝え方を学ぶといいよ、という話です。

 当たって、砕けた。という結論もあります。でも、もしも相手もアサーションということを知っていてアサーティブであろうとするならば、状況は劇的に変わってくるだろうと思うのです。話を聴いてみよう。よくわからないことは質問して確認しよう。どんな思いか一旦受けとめてみよう。自分の考えも伝えてみよう。考え方が合わなかったら、うまくいくやり方を考えてみよう。話は受けとめた。伝えたいことは伝えた。お互いに提案を交わした。やることはやったから、結論は素直に受けとめよう。と、お互いが思えるような基盤を持っているとしたら。

 多くの人々がそんなふうに考え行動してくれるようになってくれたらいいな、というのがこの僕たちの思いです。

 家庭にそんな雰囲気が合ったら、会社にそんな雰囲気のある場があったら、学校の友人関係の中にそんな雰囲気を作れたら、そこは安全基地で、たくさんの困難があったとしても、逃げ込んで心を休ませることのできる場所。もしも社会全体にそんな雰囲気があったら、たくさんの人が安心して過せる世界になっていくのではないかな。なんてことを皆さんと一緒に考えていきたいわけです。

 氷鬼という遊びもあるそうです。鬼にタッチされると、その場で凍り付いて動けなくなる。鬼じゃない人がタッチすると、また動けるようになる。動けなくなった人を友達が助けることのできる遊び。

 なんかいいですね。鬼ごっこが進化したのかな、と思うと、世の中もこんなふうに、進化することができるのかな、と思っていたいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。それではまた。

NPO法人ぐんまアサーションラボ(ぐんまアサラボ)高橋祐紀

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です