アサーティブに!(30)聴く、ディズニー
ウォルト・ディズニーが夢の実現のためにやっていた方法というのがディズニー・ストラテジー(戦略)と言われるもの。「夢見る人」「現実的に考える人」「批判する人」の3つの椅子を用意して、それぞれの椅子に座って、その役割に徹する。「夢見る人」の椅子にいる時は、現実的過ぎることなく、批判的になることもなく、徹底的に夢を追う。(詳しくは検索してみて:ディズニー・ストラテジー)
ここで、重要なのは、否定や評価、判断、好き嫌い、善悪などを一旦横において、妨害のない状態で考えられること。椅子を部屋だとして複数人が「夢見る人々」として語り合うとしたら、夢見る立場に徹して、何にも邪魔されずに語り合えること、です。(参考:ブレーンストーミング)
ディズニー・ストラテジーの中の大切な要素だけ取り出してみます。
質よりもまずは数を出してみよう、というアイデア出しの作業をしている時に、良いとか悪いとか、可能とか不可能とかの評価や判断を絶対にはさまないことです。言い方を変えると、アイデア出し(意見交換、ブレーンストーミング)と議論(ディスカッション)をきちんと分けろ、ということです。
さらに「聴く」ことと関連付けると、「本気で相手の話を聴く」ことをしたいのなら、相手の話をそのまま受けとめて、相手の気持ちをなるべく正確に理解するために、相手の話を最後まで聴く必要があるということです。途中で評価や批判や反論や分析結果(?)みたいなことを言ってはいけない、ということです。
例えば一緒に景色を見ていたとして。そこで相手の話を「聴く」としたら。
相手「この景色が全部、色々な花ばっかりだったら、きれいだろうね」
自分「そうだね。景色が全部、色々な花だったら、すごいきれいだろうね」
これが寄り添って聴く時の会話です。
相手「この景色が全部、色々な花ばっかりだったら、きれいだろうね」
自分「でもさ、花ばっかりじゃ、人は食べていけないんだよ。半分くらいは野菜が必要だと思うよ」
正論ですけど・・・。
相手「この景色が全部、色々な花ばっかりだったら、きれいだろうね」
自分「そうだね。この面積からすると、500種類くらいは植えられそうだね。500種類の種を準備するには、何年も前から準備しておく必要があるだろうね。種を扱ってる有名な会社をいくつくらい知ってる?」
こういう会話が好きな相手もいるでしょうが・・・。
そのコミュニケーションが何を目指したコミュニケーションなのか。それによって、様々な受け答えがあってもいいのですが、ここで伝えたいことは、ディズニーが3つの椅子を変えながら、思考の方向性を自分自身でも妨げることなく考えたのは、自分の声をしっかりと聴く方法だったと言えるのではないかと思うのです。
「聴く」とは。相手の言葉を聞く、ことなのではなくて、相手に寄り添い、相手の言葉や気持ちをそのまま受けとめ、そのまま邪魔することなく思考を進めさせることでもあるのです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
NPO法人ぐんまアサーションラボ(ぐんまあさらぼ)
(群馬県を拠点に活動)